オーストラリアから見た日本
                               千歳小学校 坂井 岳志
 初めての国オーストラリアでの自然や文化と触れあうことを期待しながら、引率に出かけました。予想通り、雄大で美しい自然でしたが、それよりも素晴らしかったのは、そこに生きる人間たちでした。交流協会の人たちの企画や運営は子どもたちを飽きさせないものでした。その献身的な努力には頭が下がります。感謝してもしきれません。また各ホームステイ家庭も、子どもたちのために様々な工夫をしてくれました。私がお世話になった警察官のグラントさんも500キロ四方のパトロールから歓迎のために帰ってきてくれました。奥さんのシェリーさんは教師になるために、お腹の中の赤ちゃんと共に大学に通っていますが、その合間にバンバリ近郊を案内してくれました。彼女には3才と7才ぐらいの女の子がいますが、丁寧にやさしく、しかもきちんとしつけをしていました。大きな声を出すことはありません。でも基本的なことは頑として譲りません。お父さんも穏やかに、厳しくしつけます。しかし夜もドアを開けっ放しにして、いつでも子どもに応えようとしていました。他の家庭でも多くの人たちが家族との生活をとても大切にしています。夕方には仕事を早く終えて、一緒に遊びに出かけます。川ではモーターボートに乗ったり、水上スキーを楽しみます。また、スポーツが大好きで、施設が充実しています。クリケット、ホッケー、オーストラリアラグビー、野球、水泳等を普通の人たちが楽しんでいます。「人生は楽しむために生まれてきた」と言うのがオーストラリア人のモットーだそうです。全体として、密接な人間関係が、家庭から学校、職場まで全体を貫いていると思います。現在の日本の社会が失ったものがそこにあるような気がしました。
 子どもたちを引率して動いているときは、「どこから来たのか」「何をしに来たのか」にこやかに話しかけられたました。日本からバンバリとの親善の為にきたというと「楽しんでいますか?」、「すてきな日でしたか?」と心配そうに聞いてきます。日本人の英語の苦手なことは知れ渡っているようで、ゆっくりとした丁寧な英語でしっかり目を見ながら話してくれました。下手な英語でも気持ちが通じるのはとても楽しかったです。バンバリの市長さんとの会では、派遣団の児童の皆さんは、疲れているにも関わらず、立派な態度で交流してくれました。バンバリ小学校との交流でも、演奏や踊りを披露し、親善を深めました。美しい庭と広大な運動場を持つバンバリ小学校は、赤い制服に身を包んだ統率のとれた静かで穏やかな学校でした。先生の声は小さく、子どもたちの私語も、ほとんどありません。幼稚園が併設されていたのですが、先生が許可するまでは、声を出しません。いかにもイギリス式の教育の流れをくんだ落ち着いた教育を行っているという感じでした。コンピュータが各教室に入り、自由に使っていました。また、交流会の写真がわずか20分後には、全校のコンピュータ画面に表示されていたのには驚きました。図書館のような所に選任の人がいて、全て作業をしているそうです。校長先生の朝の仕事は、教育委員会から流されるメールを見るところから始まるそうです。インターネットが本当に身近に活用されてました。実用性の面で、かなりの日本との差がついている感じです。各家庭にもコンピュータが入り、遠隔地の教育もサポートしているとの事でした。全体として、自分が興味を持ったことを徹底的に追及していく姿勢が印象的でした。今後ともオーストラリアの皆さんと交流を続けていきたいと思っています。