2、  ハード面で準備するものは何だろうか?
実際にビデオを取り込もうとしたとき、何を準備したらいいのか、迷うことが多い。以下にそのハード面での内容をまとめてみよう。
(1)コンピュータ

早ければいいのは当然だが、あまり機種にこだわることはない。特にXPパソコンになってからはどれでもビデオの編集はできる。ただしPCIバス(機能を拡張するときにカードを挿すところ)が余っているかどうかを確認する。最近、PCIが埋まっている機種もあるので注意が必要だ。SCSIにはこだわらなくてもいい。最近はソニーやソーテック、その他のメーカーからもビデオ編集マシンが売られている。自作も容易にできるようになった。選択肢は確実に増えている。その他の部分は以下の内容が十分か確認してほしい。
(2)SCSIカード

今まではこれが必ず必要だった。しかし、最近はXPIEEEの組み合わせが出てきてから使わなくても良くなってきた。またSCSIカードを使わずに高速のIDEハードディスクが出てきたので、原則的に使わずにすむようになった。

もし使う場合は高速のものが基本だ。早ければそれに越したことはない。しかし、実際にやってみるとソフトが動かなくなるわけでもない。お金がある人はそろえてみて欲しい。ちなみに、業界標準といわれるアダプテックものでなくても十分動いている。
(3)ハードディスク

現在は40ギガ、60ギガのクラスが安くなっている。1万円台で手に入る。AVIファイルの場合、2ギガの壁といわれるものがあったので、それ以上はRAIDなど、高価な装置を使うしかなかった。しかし参照ファイルという方式が出てきて、実質2時間程度まで編集できるようになった。結果として、大規模なハードディスクが使えるようになった。しばらく前まではSCSIハードディスクを使用していたが、現在はATA100対応で7200回転のIDEハードディスクならほとんど通用する。もちろん更に高速なら文句はない。60ギガのハードディスクがあればかなりの長時間の編集にも耐えられるだろう。特に、7200回転のハードディスクであればSCSIを使わず、IDEの通常のハードディスクだけで構成しても耐えられる。私も1時間程度のビデオ作品を作るのに、30ギガ、7200回転のハードディスクで十分使用できた。ただ、通常編集する3倍程度の余裕を持たせておくのが良いといわれている。

ところで、2001年マシンは、マザーボードにAopen815EP規格のAX3SP ProCPUはペンティアムVの1ギガ、メモリーはCL2の256メガを積んで改造してみた。一台4万円程度の予算で十分な性能のマシンに生まれ変わった。昨年はプロミスのATA100対応のRAIDカードを使ってみた。今年は多くのマザーボードがこのチップを内蔵しているので、簡単にRAIDマシンを作成することができるようになった。一昨年は、ハードディスクをSCSI4ギガのものをメインに購入したが、値段の下落と技術の進歩が著しく、昨年度は途中で買い足した20ギガのハードディスクと買い足した30ギガのハードディスクでRAIDを構成した。

簡単にRAIDを説明すると、RAID0だと最高のパフォーマンスが得られるような設定にし、双方のハードディスクの小さいほう×2の大きさのハードディスクとして認識してくれる。データはハードディスク1に@のデータを書き込んだら、ハードディスク2にAのデータ、そしてまたハードディスク1にBのデータというように、データを二つのハードディスクに交互に書き込んでいく。結果として、一台に書き込むより高速になるというわけである。起動をRAIDからかけると、かなり高速になる。 

RAID1はミラーリング。データを同時にもう一つのハードディスクに書き込んでいく。だから自動バックアップをハード的にやってしまう感じだ。万が一に備えるサーバーとしての用途に向いている。

RAID0+14台のハードディスクを使ってバックアップと高速化を同時に実現させようという贅沢な仕組みだ。ハードディスクが安くなった現在、試してみてもいいシステムだ。

ただ、RAIDはいくつかハードルがある。下にまとめておく。
ハードディスクの接続は端末が青くなっている専用ケーブルを使用し、今までのIDEケーブルは使えない。専用ケーブルをRAIDカードにきちんと差し込み、電源を入れ、付属しているソフトやドライバをきちんと入れよう。
しかし、そのままでは使えない。ウルトラATA66、あるいは100のハードディスクは、IDEではないから、認識させる方法が違う。BIOSIDEを表示するところにいっても、ハードディスクは何にもなしと認識される。
そこでBIOSを動かし、起動を「SCSIから」にする。BIOSの種類によって違うが、まず初めての人はここが難しい。RAIDのカードはSCSIとして認識される。
次にうまくハードやドライバのインストール、ソフトのインストール、BIOSの設定が終了すると、RAIDの設定が可能になる。起動の途中で「Ctrl+F」を押せというメッセージが出る。
選択するとアレイというのを設定できる画面になる。1〜5までの選択画面だ。1を選ぶと、RAIDのどのモードを選ぶか選択できる。RAID2も選択できるが、スピードはノーマルモードになる。但し、ハードディスクは最大の設定になる。特に2台のハードディスクの容量が違うときには選択の可能性がある。
後は、失敗したときや、アレイをやり直すとき、現在のアレイを確認するときなどに使うが、一度でうまくいけば特に使うことはない。
その後、マシンはリセットされ、起動をはじめるが、F8を押してMS-DOSを立ち上げる。コマンドプロンプトを選ぶ。
そこでFDISKと打ち込む。これはハードディスクを使うときのおまじないみたいなもので、増設したことのある人は分かると思う。もし、ここからが、よく分からない人は自作マシンの本によくのっているので調べてみて欲しい。
次に新規に入れたハードディスクの基本領域などを作り、一つの大きなハードディスクにしておく。もう一台も同様にパーティションなどはきらないでおく。
それぞれ、最大に割り当て、全てが終わったら、もう一度再起動し、OSを立ち上げる。
後は、WINDOWS98が立ち上がったら、マイコンピュータからハードディスクを見つけ、そのハードディスクの上で右ボタンを押して、サブメニューを出す。そしてフォーマットすれば完了だ。
最後に、ハードディスクがきちんと認識されているか、また問題がないか、RAIDのユーティリティソフト、FastCheckモニターを立ち上げ、問題がないか確認する。駄目な場合は赤でその部分が表示されるから、原因を考え、対策を考える。
全てが終われば、二つのハードディスクは協力して動き出す。高速になっているかどうかは、ビデオなどで確認してほしい。
DV-RAPTORはハードディスクのチェックソフトがついているので、テストしてみよう。

以上、大変、面倒なようだが、手間隙をかけた効果があることなので、試してみて欲しい。費用はRAIDのカードはマザーボードに付属しているので、30ギガハードディスク2台が合わせて23万ぐらい。それで全てだ。SCSIで同様なシステムを組むのと大違いなので、ぜひ試してみて欲しい。ただ、PCIにかなりの負担をかけるキャプチャーカード(リアルタイムキャプチャー)もあるので、PCIにできるだけ負担をかけない方がいい場合もある。

問題は、RAID0だと、一台のハードディスクがクラッシュすると、もう一台のデータも全て駄目になる。データを2台に交互に分けたのだから当然だ。怖いと思う人は、RAID0+1にして、4台のハードディスクを組んでみるといい安全と速度とを味わうことができる。

今後、OSに付属したソフトウエアRAIDも進んでくるので、動向と仕組みに注意していきたい。

(4)接続用ケーブル(IDESCSIIEEEUSBケーブル)

IDEケーブルはRAIDを組む場合は先が青くなっているケーブルを用意しておく。SCSIの場合には、SCSIカードから内蔵のSCSIハードディスクを結ぶために、ケーブルが必要になることがある。それぞれのカードによって、ケーブルも違うので買うときに注意が必要だ。IEEEはアイリンクとも言われるものだが、最近はビデオ系やハードディスクなどに多く使われている。USB2.0の規格になってから高速にデータを移動できるようになっているが、そのケーブルは製品に付属していることが多く、特に用意することはない。
(5)CPU

これは早いに越したことはないが、ペンティアムのU程度でも実際に動いている。取り込みで必要になるわけではなく、データに加工するときには必要になる。でも、あまり遅いCPUでは、全体的に作業が遅くなる。現在、ペンティアムWの1.6ギガ程度が2万円台で売られている。2ギガのペンティアムWも値段がこなれてきている。様々なサイトの情報によると、現在まだキャプチャー関係のボードがXPに対応していないものもある。
(6)メモリ

これは最低でも256メガ以上欲しい。今は4000円前後で販売されている。贅沢に積んでおいても悪いことはないので、十分に用意しておこう。今までは128メガ以上はほとんど速度には関係なかったが、WINDOWS2000XPになってからは、メモリーは多いほうが効果的だ。
(7)キャプチャーカード

ビデオを取り込むときに必要なカードだ。これは目的とグレードによって様々なものがある。安いのでは1万円前後から実用的なものが出ている。いわゆるIEEE(アイトリプルイー)ともいわれる規格に乗っ取って作成されていて、デジタルビデオのデータを読み込むときに通常利用されている。もちろん、ハードディスク等その他のデータを利用するときにもよく使われるようになった。しかし、画像が美しく、またオーバーレイも安定している機種として、カノープスのDV-RaptorUがある。現在は、値段も実売で4万円台ということで、中級者用としては、機能と添付ソフトの内容から一番充実しているだろう。オーバーレイの機能を削除したEZDVUもある。また1万円前後で売っているキャプチャーカードもVideo Studio v4.0が付属していて、性能もそこそこきれいだ。ただ、ビデオの中にはコントロールできないものもある。少し高いものではDVStormが人気だ。ソフトなしのバージョンだと82000円前後で手に入る。ソフト付きだと12万円程度だ。これはリアルタイムに効果をつけることができたり、デジタルにもアナログにも対応している。個人ユーザー用としては現在、最高峰といってもいいだろう。

現在、これらの中でビデオキャプチャーの世界では、DV-RaptorUがコストパフォーマンスのいい製品といえるだろう。またサポートする本もかなり存在する。また、コンピュータメーカーによっては、最初からDV-RaptorUを積んでいる機種を販売しているところもある。ただし、このままではデジタルビデオのみに対応ということになる。アナログビデオからは取り込めない。そのためには別売の付属セットを足すか、下記のメディアコンバータ、あるいはデジタルカメラに付属のアナログ〜デジタルへのコンバート機能が内蔵されているものを使う。

AVIで取り込んだデータをインターネット上のビデオクリップとして変換するには、それなりの時間がかかる。もし、最初からMPEGに変換したいのだったら、それ専用のカードを購入する方法もある。私はAll-in-wonder(オールインワンダー)というカードを使っている。これは大変便利なカードで実売2万円で売られているが、基本はビデオカードなのだが、それにMPEG1、MPEG2、その他のファイルに瞬時に変換することができる機能がついている。1分の作品は1分で記録できる。さらに、テレビも見ることができる。ということは、ビデオから簡単にMPEGでデータを保存できるということだ。

今後、使用目的によって使い分けるのもいい方法かもしれない。デジタルビデオ作品の編集と書き出しにはDv-Raptor等のAVIキャプチャーカードで行い、インターネットやCD-Rでの動画配布や資料の保存にはMPEGカードを使うといいかもしれない。この他にもカノープス、IO-DATA、ラトック等各メーカーからPCIカードやUSB接続などでMPEGに変換するハードが売られている。高くはないので、後からやるしかない人は、それでもMPEGのデータを作れるので試してみて欲しい。

シャープから出ている動画、静止画対応のデジタルカメラは、動画をMPEG4でスマートメディアに直接保存する。これも安いので、気軽に試すのにはむいているかもしれない。ただし、画像は決して満足のいくものではない。また、当然、編集にはむかない。

最新のものとして、WindowsXPOS上では簡単にビデオを取り込むことができるようになっている。簡単なソフトも付属しているので何の投資もなく、ビデオの編集ができる。後は専用編集ソフトを入れるだけでかなりのことができる。CPUがさらに高速になってくれば、特別なカードが必要なくなる時代が来るのかもしれない。いやもう来ているのかもしれない。
(8)アナログビデオのデジタル化

メディアコンバータというアナログからデジタル、デジタルからアナログに変換する装置がSONYから出されていたが、現在は生産が中止されている。その訳はデジタルビデオの中にアナログからデジタルに変換する機種が多くなったからだ。8mmビデオで、デジタル変換をすることができる機種も出ている。音声だけをアナログデジタル変換する装置もカノープスから出ている。





(9)CD-ROM
CD-RDVDMO

CD-ROM50倍速のものが4千円前後で出ているので、それで十分だ。CD-Rも現在書き込みエラーが出ないタイプでも、1万円台で売られている。昨年の半分程度になった。これをつんでおけば、多少の画像は保存しておける。DVDはさらに有効だ。4万円程度だが、どんどん安くなってきている。ビデオには有効なメディアかもしれない。ただ、様々な規格が乱立していてどれが標準の規格になるかまだ定まっていない。もちろんギガ単位になったMOも使える。ただし、書き込み速度はどれも遅い。
(10)サウンドカード

これは安いのがたくさん出回っているが、できたら1万円程度の音質のいいものがほしい。クリエイティブやヤマハのものなら安心だ。あまり安いものだと雑音が入る。特にいいのはサウンドブラスタープレミアで、ソフト面でもハード面でも最高の内容となっている。ただ、スタートメニューに入ってしまうと裏で動いてしまい、動画とバッティングすることもある。これに限らず最初から裏で動くソフトはできるだけはずしておいた方がいい。また、ONKYOUSB接続ユニットなども雑音に影響されず使いやすい。これを使うとテープレコーダーやビデオの音声から簡単にデジタルデータとして取り出すことができる。
(11)グラフィックカード

これは相性があるようで、難しい部分もある。理由がなく動かないときにはグラフィックカードを疑ってみるといい。どれがいいとは言えないが、当然ながらカノープスのカードがDV-Raptorとの相性がいいようだ。また、グラフィックが美しいとの評価もあった。現在はマザーボード等に付属のグラフィックカードが多くなり、ただ取り込むだけだったら付属のチップでもいい。しかし、画質にこだわるのだったら、専用のカードがほしい。
(12)スピーカー

スピーカーも入出力時にかなり音量、音質が違うので、大音量にも耐えられるものがいい。また、できたら防磁機能があるものがいい。2000円程度から3万円程度まであるが、作業そのものには影響はない。ただ、電源アダプターもそうだけれど、スピーカーも音や画像に悪影響を与えることがある。あまり安いものは避けたほうが無難だろう。
(13)ケーブルやプラグ
いわゆるビデオケーブルとILink用のケーブル、そして、サウンドブラスタの音の取り込み用としてミニプラグのケーブルが必要だ。テープレコーダから取り込む場合はステレオ用のケーブルを用意したほうがいい。案外、このケーブルが問題をおこしている場合が多い。すべてがうまくいっているのに音が出ない場合、ケーブル周りや接続を疑おう。






(14)マザーボード
CPUによってマザーは変える。日本語マニュアルが増えてわかりやすくなった。英語に強い人やハードに強い人で、なおかつ老眼でない人は基盤に書いてある小さな文字を読めばどのマザーでも見当がつく。現在は440BXから415445450、アスロン用マザーなどが出ているが、これも様々で、試してみるしかない。思ったよりもアスロン系が高速で動くことがわかっているが、これも部品全体の相性などをチェックしないとはっきりしたことは言えない。ダブルBIOSになっているマザーも増えて、BIOSのアップグレードなどに失敗したときに助かる。その他にも色々あるが、どんどん変わるので、ショップの店先やインターネットで情報を集めてから決めるといいだろう。
以上、大まかに必要なものをあげてみた。ハードはどんどん変わるので常に検討をしていないと判断を間違えてしまう。インターネット上で最新のデータを検討してそろえていくのがいい。自分の希望と実際の機種の性能を比較してそろえるといいだろう。