オモシロ実験講座
使 い 捨 て カ メ ラ の 再 使 用 法

                    (撮りっきりコニカ MINI II)

 最近流行の使い捨てカメラには、フジ、コニカ、コダックの各フィルムメーカーより、標準、望遠、ストロボフラッシュ付きなどの各タイプがあり大いに利用されています。しかしフィルム1本を撮影するだけなのに \1000〜\2000 も払うのは「ちょっと高いかな」と感じるのは私だけではないしょう。そこで今回はコニカの”撮りっきりコニカ MINI II”を再使用してみたところ、好結果でしたので、ここに紹介します。このシリーズの中には画面サイズや撮影枚数などで何種類かありますが、実用的なのは39枚撮りのフラッシュ付きでしょう。なお、メーカーはこのような再利用を認めていません。実験するときには自己の責任で行ってください。

1)材料
 撮影済みの”撮りっきりコニカ MINI II”とISO400のネガ・カラーフィルム。”ISO400”とはフィルムがどれくらい光に感じやすいかを数字で表したもので、普通はISO100ですからISO400は4倍だけ光に感じやすいといえるわけです。いいかえると1/4の光しかない暗いところでも使えます。必ずISO400と指定しないとISO100のフィルムを出されますから注意して下さい。
 ただ、最近はISO800のフィルムを使用したものも発売されていますのでカメラのケースをよく見てください。その場合はISO800のフィルムを購入します。メーカはどこでも構いません。
 撮影枚数はカメラの撮影枚数と同じものが無難です。また、モノクロフィルムは明るさに対する許容範囲(ラチチュード)が狭いため暗いところではよく写りません。

2)フィルムの取り出し
図1  まず、取り出す前にカメラ上面のフィルムカウンターが”E”になるまでフィルムを巻き取ります。つぎにカメラをカバ−している紙をきれいにはがします。(あとでまた使います。)カメラの上下の面にある裏ブタを止めている爪(図1,2)を細いドライバーで押し込み、はずして開ければ撮影済みのフィルムが出てきます。(図3)このパトローネ(フィルムの入れ物)はカメラ屋さんに持って行けば現像してくれると思いますが、使い捨てカメラのパトローネを拒否する店がわずかながらあるというようなうわさも聞くので(このパトロ−ネは市販のものとは違って地味な色であるのですぐわかる。)そういう時には酒屋さんとか薬屋さんで現像してもらいましょう。(シロウトならばわからない?)
図2

図3


3)フィルムの装填
 初めに図の位置にあるギヤを”カチッ”と音がするまで回し、シャッターを押します。これを何回か繰り返すとフィルムカウンタ−(図2)の窓に”S”が表示されます。次にストロボフラッシュ用の乾電池を交換します。ふたを閉めてしまうと途中で電池交換はできません。ただ、フィルム2〜3本は使えますので初めて再利用をする場合は必要ないでしょう。
 ここから先の操作は光が入るとフィルムをダメにしてしまうので暗いところで行わなければならなりません。(まったく何も見えないくらい真っ暗なところでやります)
図4  本来なら暗室で行った 方がよいのですが、そんな物が普通の家庭にあるわけないので、夜中に電灯を消し(周りの部屋も)部屋のカーテンを閉め切って、布団や押入の中でやります。お金がある人はダークバッグという道具(数千円)を写真器材の店で買いましょう。また暗いところの作業なので手探りでできるように何回も練習しておいてください。
 最初にに買ってきたフィルムを図4のようにスプ−ルに全部巻き取ります。このとき巻く方向とパトローネの向きをまちがえないようにしてください。そして図5のように本体にセットして裏ブタを閉めます。これで明るいところに出してかまいません。あとはふたがはずれないようにセロテープでとめれば完成です。巻き上げてシャッターを切り、フィルムカウンターに”1”を表示させます。
図5


4)その他
外側のボール紙のカバーをオリジナルデザインにすると2倍楽しめます。(図6)カバーをきれいにはがし菓子箱などのボール紙に型を取って切ります。折るところは裏からボールペンで強く線を引けばきれいに折れます。

5)応用編
A.このカメラ以外の使い捨てカメラの再使用はこの場合とにています。コダックの製品はほとんど同じです。
 フジの”写るんです”の場合、少しむずかしい点が2つあります。1つは本体裏ブタを接着剤で止めてあるのできれいに分解するのが難しいこと。2つめ、巻取りスプ−ルがないのでフィルムは鉛筆などを芯にして卷かなければなりません。一番売れていてどこにでもあるのですが、残念です。
B.逆光の時などストロボフラッシュを使うときれいに撮れるので大いに活用するとよいでしょう。ストロボフラッシュの電池が無くなったら単3の乾電池と交換してください。スイッチを入れてからランプが点灯するまでの時間が長くなると電池がへたった目安です。ただ、内蔵されているのはアルカリマンガン電池ですので36枚撮りフィルム2〜3本は交換の必要がありません。もちろん普通のマンガン電池でも使えます。
 ただし注意してほしいことがあります。内部にはストロボを発光させるために約300ボルトもの電圧が発生していますので、不注意にストロボの回路にさわってしまうと電撃をくらいます。最悪の場合生命に危険を及ぼすこともあるので、電気に詳しくない人は絶対に前面のカバ−ははずさないでください。
C.前面のカバ−を取り外すとレンズがはずれます。レンズの下に直径3ミリほどの穴があいた円盤があります。これを”絞り”といいます。絞りの直径を大きくするとレンズを通過する光の量が増えるので暗いところでも使えます。またシャッタ−を改造して開け放しにできるので星の写真を撮ることも可能ですが画面周辺の像は悪化します。ちなみに星の写真を撮りたいときには感度が高いフィルムを使うとよくうつります。(ISO3200まで市販されています。)ただ、フィルムの感度をあげたりレンズの絞りを大きくすると、こんどは明るいところでは光が多すぎて写りが悪くなってしまいます。
D.一眼レフカメラを持っている人はこのレンズをボディキャップの中心に穴をあけて取り付ければ交換レンズになります。ピントの調整が必要ですが軽くてかさばらないのが利点です。

6)耐久性
 先日、北海道に旅したとき、あわてて出発したのでカメラを忘れてしまいました。交換用のフィルムは持っていたので夜中、民宿の押入でフィルムを交換しました。結局この旅で3本撮りましたが本体はびくともしませんでした。普通に使えば10本以上はいけると思います。

7)メーカーはこの手のカメラを「レンズ付きフィルム」と称し、部品などは再利用していると言ってリサイクルを強調していますが、私たちからみればやはり「使い捨てカメラ」の印象は拭えないでしょう。メーカーの言うリサイクルとは部品をそのまま使うのではなく溶かして再利用することのようです。私のように再利用すれば無駄なエネルギーを使わなくてすみます。

*私が使い捨てカメラの再利用を始めたのは発売されてすぐの頃でした。その当時から比べると機械の中味がずいぶんと変わりました。こまかく言えば数ヶ月に1回ぐらい変更されているようです。しかし基本さえ理解していれば少しくらいの変更は対応できるでしょう。ぜひ皆さんもやってみて下さい。