ショートスキーの作り方
 スキーを始めたばかりの初心者にとって、スキーの長さは恐怖です。全く自分の意志とは全く関係ない方向に滑っていってしまいます。経験者にとっては簡単なことでも初心者には、大変難しいことです。
 私は初心者の頃「もっと短いスキー板があれば楽に滑れるのに」と考えて、同僚からもらった古いスキーを切断し、1mの板を作りました。これをはくと、(ショートスキーが一般的でなかった当時としては少々目立つのですが)楽に滑ることができました。ボーゲンしかできなかった私でも40度の急斜面を降りてくることができます。短いから小回りが簡単で、スピードがでないうちにターンが終わります。短いからある程度力で回せるので恐怖心が少なく、恐怖心がないからコブでも、急斜面でもターンができます。その結果練習量が増えますが、上達が早いかどうかは個人の問題です。
 スキーを始める人は最初短い板から入門し上達に従って長くするべきであると、私は思います。
1材料
○古くなっていらなくなったスキー。ほとんどのものが使えます。
○ビンディング:板に付いているものでかまいません。新しく買うのならスキーが短いので子供用の安物でも充分使えます。
○流れ止め:スキーブレーキは靴の位置によって着かないことが多いです。
2工具
○グラインダー(ディスクグラインダー):板のエッジを切るときに使います。エッジは鋼鉄なので普通の金鋸では切れません。
○のこぎり:板を切るときに使います。
○ドリル(きり):ビンディングを取り付けるときに使います。太さは4mm程度。
○ドライバー大:ビンディングのねじをしめるときに使う。
3作り方
(1)まず自分がほしいスキーの長さを決めます。大人の初心者用なら1mくらいが適当です。先端から長さを測り印を付けておきます。
(2)グラインダーでエッジを切ります。次にのこぎりで木の部分を切ります。エッジの角は丸めておいた方がいいでしょう。
(3)ビンディングを取り付けます。ビンディングの位置は足の親指の付け根が真ん中に来る位置が良いと聞いたことがあります。この位置で実際に滑って不都合はありませんでした。
4応用
1フィーグル:野沢温泉スキー場にスキー博物館があります。ここは、スキーに「こんなにも種類があるのか」と思うほどたくさん展示されています。野沢温泉に行ったときは是非訪れてみてください。
 そして、ここに樽の板で作った雪渓用の短いスキーが展示されています。初めて見たとき、こんなものでもスキーができるのかと思いました。これと似たものが以前、日本のスポーツ用品店から、「フィーグル」という商品名で売り出されていたことがあります。全長が65cmくらいでアルミ製でした。ひもで縛るビンディングがついていてスキーの後ろ端と靴のかかとが一致する位置に固定できるようになっていました。これはショートスキーが一般的になる前だったので、ほとんど売れなかったようです。中古でも見たことがありませんでした。
 それを思い出したので、私も試しに作ってみましたが、滑り方は、スキーとはちょっと違い、スノーボードのやスキーの横滑りと同じような感じでした。つま先を立てて斜面下向きに立ち、つま先を下げていくとだんだんスピードがでてきます。止まるときはつま先を立てます。曲がるときは曲がりたい方向と反対の足に体重をかけます。ただし後ろに体重をかけている時間が長いので長時間滑ると足が疲れるのが欠点でしょう。
 板が非常に短いので、10分も練習すれば、すぐ滑り方を覚えられます。子供がスキーに飽きたときなどにはいいでしょう。もちろん大人が滑っても充分楽しめます。
 フィーグルの場合、後ろの切断面のエッジの角を丸めないでとがらしておいた方が、アイスバーンの場合には氷に引っかかりコントロールしやすいです。
 山登りをする人が、春山の下山に使うと楽しいかもしれません。長さが短いので、それほど大きな荷物にはならないでしょう。
 フィーグルは靴が板の最後端につくので、かかとの後ろに止めねじがある、普通のビンディングは使えません。私は皮を利用して編み上げ式のビンディングを自作しました。また、ショートスキーのビンディングが手にはいると使いやすいと思います。そのほか、昔のマーカーのビンディングがあれば使えると思います。
2,短い”ショートスキー:60〜70cmの板のほぼ真ん中に靴がくるようにビンディングを取り付けます。ふつうのスキーと同じような滑り方で滑りますが、短いので安定性に欠けます。体重が前に乗ると前に転ぶし、後ろに乗るとコントロールができなくなります。つまり、中心に体重をかけないと滑れないので、真ん中に乗れていない中級者にとってはよい練習になります。友人と遊ぶときに持っていくと、笑えます。
3,長い”ショートスキー:長さが1m程度だと初心者にとっては扱いやすい長さです。短いと安定性に欠けますが、初心者はスピードを出さないので大丈夫です。また、急斜面や、こぶ斜面での恐怖心が少ないので、後傾にならず練習できます。1mで練習した後、10〜20cmずつのばしていけば、上達も早でしょう。もちろんふつうの長さになるまでは自分で作ります。
4,1組のスキーから2組作る
 切り落としたスキーの後部から、もう一本スキーを作ることができます。切り落とした部分の長さが60cmあれば上記1,2のスキーが作れます。問題はトップの部分がないことですが、私はアルミの板を曲げてトップを作りました。後はほかのスキーと同じです。